|
||||||||
昔のミュージカル「コーラスライン」を、再演するにあたって、完全オープンのオーディションをおこなった。 その経過のドキュメンタリーということで、そうとうに点を甘くしないと、見続けることは難しい。
ドキュメンタリーであっても、商業映画として公開する以上、物語性が必要である。 この映画はなべて見せようとするあまり、物語の芯を作っていない。 映画としては面白くない。 しかし、有名な作品の再演に、完全なオープン・オーディションを実施するのは、さすがにアメリカである。 応募する方も、アメリカ国内は言うに及ばず、日本人をはじめ世界中から、応募者が集まってくる。 審査する方に、きちっとした審査基準が必要で、イメージに合わないと言ったあやふやな基準では、3千人もの審査に対応できない。 この映画では、審査員たちが比較的和気藹々としていたが、そんなシーンばかりではないはずだ。 再演を演出するボブ・エイヴィアンが、審査の中心になっていたが、審査の席上には旧作に出演したバイヨーク・リーがいたりして、あれでは審査が散漫になってしまう。 オーディションのドキュメンタリーであっても、それを記録した映画を通じて、何を訴えるかがないと、詰まらないものになってしまう。 ドキュメンタリーであっても、やはり訴えるものを掲げないと、劇場用映画にはならない。 落ちたら最後といった悲壮さが漂っていると、オーディションを行うほうも気が重い。 さまざまなオーディションが行われて、たくさんのチャンスがあるアメリカだからの風景である。 確たる審査基準をもったオーディションが、たくさん行われることは、応募者を鍛えると同時に審査員をも鍛える。 だからこそ、新たなダンスや演劇が生まれてくる。 映画自体はつまらなかったが、アメリカの表現における背景が感じられた。 原題は「Every Little Step」であり、原題のままのほうが良かったのは、言うまでもない。 2008年アメリカ映画 (2008.11.03) |
||||||||
| ||||||||
<TAKUMI シネマ>のおすすめ映画 2009年−私の中のあなた、フロスト/ニクソン 2008年−ダーク ナイト、バンテージ・ポイント 2007年−告発のとき、それでもボクはやってない 2006年−家族の誕生、V フォー・ヴァンデッタ 2005年−シリアナ 2004年−アイ、 ロボット、ヴェラ・ドレイク、ミリオンダラー ベイビィ 2003年−オールド・ボーイ、16歳の合衆国 2002年−エデンより彼方に、シカゴ、しあわせな孤独、ホワイト オランダー、フォーン・ブース、 マイノリティ リポート 2001年−ゴースト ワールド、少林サッカー 2000年−アメリカン サイコ、鬼が来た!、ガールファイト、クイルズ 1999年−アメリカン ビューティ、暗い日曜日、ツインフォールズアイダホ、ファイト クラブ、 マトリックス、マルコヴィッチの穴 1998年−イフ オンリー、イースト・ウエスト、ザ トゥルーマン ショー、ハピネス 1997年−オープン ユア アイズ、グッド ウィル ハンティング、クワトロ ディアス、 チェイシング エイミー、フェイク、ヘンリー・フール、ラリー フリント 1996年−この森で、天使はバスを降りた、ジャック、バードケージ、もののけ姫 1995年以前−ゲット ショーティ、シャイン、セヴン、トントンの夏休み、ミュート ウィットネス、 リーヴィング ラスヴェガス |
||||||||
|