タクミシネマ       マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
ザック・ヘルム監督  

 自分に自信を持つことだという、子供へのメッセージが、映画1本を使って訴える。
いかにも現代的な主題で、子供への暖かい視線と、信頼をもとにしている。
魔法のオモチャ屋さんの仕掛けが、なかなかに凝っており、楽しい展開を見せる。


マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 [DVD]
IMDBから

 オーナーのマゴリアム(ダスティン・ホフマン)は、なぜか魔法が使える。
彼だけが魔法が使え、若い店員のモリー(ナタリー・ポートマン)には使えない。
子供たちは純真であるがゆえに、魔法が見えるが、魔法を見えない人もいる。
子供も自分たちが使えるわけではない。

 この映画は不思議な仕立てになっている。
登場する人物が、決まった人としか会話しないのだ。
マゴリアムとモリーが会話するのは当然として、
たくさん登場する子供たちのなかで、エリック(ザック・ミルズ)は他の子供たちとは話さない。


 エリックは変わった少年という設定だが、この少年が重要な役回りをはたしている。
彼はマゴリアムとモリー、それに会計士のヘンリー(ジェイソン・ベイトマン)としか会話しない。
ヘンリーには魔法が見えない。

 マゴリアムが243歳になったので、モリーに店を譲ろうとする。
しかし、魔法の使えないモリーは、とても店をやっていけない、と尻込みする。
天才ピアニストと言われた彼女だが、いまでは完全なスランプに陥っていた。
自信のなさが、引き受けることに尻込みさせている。

 映画だから、もちろんモリーは魔法が使えるようになって、店を譲り受けるのだが、
ちょっと意味不明な展開である。
モリーが譲り受けるのは良いとしても、
なぜ、マゴリアムが店を辞めなければならないのか、そして、彼はどこへ行くのか。
明らかにしなくても良いと言えばいいが、
そのあたりが不鮮明だから、どうも説得力が弱い。

 結局、何でも調べられるビッグ・ブックからの仕掛けや、
いつまでも飛ぶ紙飛行機・絵の具の変色などなどの驚きが見せ物だろう。
現実とおとぎの世界を、はっきりと区別しなかったのが、判らなさの原因だろう。

 自分に自信を持つという主題だから、
どうしたら自信を持てるようになるか、それを映像化するのは難しい。
自信はある意味、自分の感情のもちかた次第だから、きっかけさえあれば自信を持てる。
我が国の自信は、先が見えてやっていける思うことだが、
アメリカの自信は信じできさえすればいい。

 この映画でも、状況は何も変わらないのに、
自分を信じるきっかけを与えられたら、モリーは自信がついた。
そのきっかけを与えるのが、ヘンリーやエリックといった、周りの人間である。
自信を与える仕組みも、会計士ではダメで、子供が良いのだ。


 この映画は、いま流行の子供を扱った映画の一本であろう。
原題は「Mr. Magorium's Wonder Emporium 」 
  2007年アメリカ映画
(2008.02.27)

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