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老年にさしかかりつつある男4人が、何を思ったかオートバイで、アメリカ大陸を横断しようとした。 ドタバタ劇のロード・ムーヴィーで、楽しいB級映画である。 しかしながら、どこでも年寄りは困った者だ。
ウディ(ジョン・トラボルタ)は事業に失敗して、自己破産。 そして、モデルの奥さんとは離婚。 残ったのは1台のハーレーだけ。 ダグ(ティム・アレン)は歯医者だが、変化のない毎日に覇気がなくなった。 彼は元気だった若い頃を、振り返っていた。 ボビー(マーチン・ローレンス)は失業中で、小説家を目指している が、芽が出る希望はない。 ダドリー(ウィリアム・h・メイシー)は、コンピューター・オタクで結婚もできない。 4人は冴えない日々を振り払うべく、カルフォルニアの海をめざして、オートバイの旅に出る。 すでに通俗的な生活習慣が身についた彼等が、若い頃のような無計画なオートバイの旅を楽しもうとする。 しかし、行く手には障害が山盛り。 様々なハーレーがオンパレード。 アメリカでオートバイといえば、今でもハーレーをさすのだなと、日本人としてはちょっと気になるところ。 オートバイは趣味性が強いので、自分の生き方や性格が反映される。 世界のオートバイ市場は、いまや日本車の独占状態のはずだが、アメリカだけは違うらしい。 おそらくハーレーは、男性的なマッチョの象徴であり、たんに速く走るためのものではないのだろう。 時代から取り残されてしまった男たちの、懸命なあがきがハーレーに象徴されている。 それは4人にも共通で、ハーレーはいわば負け犬の象徴である。 情報社会にのれない男たちが、アメリカでもたくさんいるのだろう。 無法者になるほどのガッツはなく、ただ時代から取り残されてしまった4人の男たち。 50年遅れの「イージー・ライダー」といったところだろうか。 あらためて自分探し、いや自己逃避の旅に出る。 この映画を見ていると、アメリカという国は幾つになっても、チャレンジを良しとするのだと感じる。 恋もチャレンジなのだ。 幾つになっても恋することを賛美する。 我が国なら、58歳の彼が恋人が欲しいというのは、もうギャグでしなかいだろう。 冷やかされるか、年甲斐もなく女を求めるアホなオヤジ、といった設定になりそうだ。 しかし、この映画では、ダイナーを経営するマギー(マリサ・トメイ)が、彼の恋人になる。 マリサ・トメイは年をとったとはいえ、いまだ44歳の女盛りで、充分の美女である。 我が国では、高齢者の恋を肯定的には見ない傾向が強いが、アメリカでは何歳になっても恋を賛美する。 我が国では、高齢者の恋は、男に付いてくる女探しとなる。 アメリカ映画を見ていると、女性の力が非常に強くなっている。 この映画でも、はるかに年上のダドリーのほうが、どうも収入が少なそうだ。 映画だからの話だろうが、収入などを無視して性格だけで男女がくっつくのは、アメリカ的というべきなのだろうか。 原題は「Wild Hogs」 2007年アメリカ映画 (2008.02.15) |
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