前作から10年というが、第2弾というからには、第1作はヒットしたのだろう。 イギ
リスでは人気のテレビ・シリーズらしく、その映画化だという。 笑いは国民性が反映される。
この映画はそれなりに面
白いが、主人公の顔演技が強烈すぎて、ちょっと馴染みにくかった。
自虐的なシーンが連続しており、一種モンテ・パイソン的なギャグである。 冒頭の教会での慈善募金というのからして、雨漏りする教会の屋根を直すためという。 雨が派手に漏る教会での抽選シーンの冒頭から、貧乏なイギリスを象徴しているよう。
この抽選で、ビーン氏(ローワン・アトキンソン)はカンヌへの旅行を当てた。 ユーロ・スターでパリへ。
そして、TGVでカンヌへと向かうが、ドジばかり。 外国を知らないビーン氏は、フランスで様々なトラブルを巻き起こす。
しかし、すべて結果OKで終わる。
このビーン氏自体が、ドジなイギリス人を象徴しているらしい。 自分のドジをみて、イギリス人は笑っているのだろう。 機械音痴のイギリス人は、新しい自動販売機にふりまわされる。 そして、賞品で貰ったビデオカメラが、異常に大切なものとなる。
外国語嫌いのイギリス人は、フランス語が理解できない。 何にでも<ウィ>と返事をしているうちは良いが、最後には感謝のつもりで<グラッシャス>と言ってしまう。 イギリス人のビーン氏には、フランス語とスペイン語との区別もつかない。
コミュニケーション能力に欠けるビーン氏は、パリに着くや北駅へ行けずに、タクシーでデファンスへ連れて行かれる。 しかし、旧式の磁石をたよりに、歩いて北駅へと戻ってくる。 もちろん途中では、迷惑のかけ放題だが、本人はまったく気がつかない。
交通監視管からは、イギリス人だろうから仕方ないと言われる始末。
味覚音痴のイギリス人は、生牡蠣が食べられない。 もちろんビーン氏も、食べることはできない。 立派なギャルソンの手前、蛎を食べる振りはするが、となりの女性のバックのなかへ入れてしまう。 女性は大迷惑。
途中でTGVに乗りはぐれ、財布も失う。 妙な縁でつながった子供のステパン(マックス・ボルドリー)と2人で、大道芸で稼ぐ。 やっとバスのチケットを買うが、そのチケットが鶏に付いていってしまう。 結局、ヒッチ・ハイクでカンヌに向かう。
ヒッチ・ハイクで乗った車では、助けたフランス娘サビーヌ(エマ・ドゥ・コーヌ)が、彼に好意をもってくれる。 フランス娘でありながら、彼女ののっている車は、ふる〜いミニ。 しかも、このミニを、フランス娘がピカピカにレストアーしている。
30年近く前の車が、フランスで愛されている。
何とイギリス人の心をくすぐることか。
イギリス人による、イギリス人のための、イギリス・コメディである。
ビーン氏を演じるローワン・アトキンソンの、スタンドアップ・コメディアンというか、パントマイムといった身体の動きが見物である。 原題は「Mr.
Bean's Holiday」 2007年イギリス映画
(2008.1.30)
|