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男性である夫が戦死する例は、いままで沢山あったろう。 悲しい事実だが、残された者たちは耐えてきた。 男女が平等になり、女性も戦地に赴くようになった。 当然に女性も戦死する可能性がある。 静かに反戦を訴える映画で、アメリカの真面目さがよくでている。
高校卒業で入隊した男性スタンレー(ジョン・キューザック)は、 軍隊で運命の女性グレイスにであって結婚。 2人の娘にめぐまれ、幸せな家庭生活を営んでいたが、 兵士である妻グレイスはイラクに出征中であった。 グレイスの訃報がもたらされる。 彼は万が一を考えることはあったが、いざ事実となると平静を保てない。 12歳のハイディ(シェラン・オキーフ)と8歳の娘ドーン(グレイシー・ベドナルジク)には、母の死は重すぎる事実である。 母親の死を、娘たちにどう伝えて良いかわからない。 彼は自分一人で耐えられなくなり、2人をフロリダの遊園地へと誘う。 途中で、母親を頼るが不在。 苦しいだろう。 伴侶を亡くした辛さがよく伝わってくる。 台詞では辛いとは言わない。 台詞で説明することは全くない。 ただ、映像で演技で辛さを表現している。 この映画は、スタンレーも志願兵だったという。 夫婦そろって兵士だった。 その1人が戦死したのだ。 正しいと胸を張れる戦争なら(正しい戦争があるかは疑問だが)、戦死もやむを得ないだろう、と納得する。 しかし、この戦争は正しいのだろうか。 兵士を志願したスタンレーは、この戦争を正しいと思いたいが、 自分の伴侶が殺されると自制心を失った。 そこが強烈な反戦の主張に仕上がっている。 言葉で反戦を訴えるのではない。 彼の立場自体が、妻の死の苦しみをよく体現している。 家にとどまるより、外へと出たほうが、いくらか気分が楽になるだろう。 それもわかる。 娘の年齢も、意味深長である。 こうした家庭でも、兵士は出征しているだろう。 自分には死は来ないと思っているわけではないが、いざ死と直面すると何とも言いようがない。 クリント・イーストウッドが音楽を担当しており、彼は完全に反戦派になってしまったようだ。 原題は「Grace is Gone」 2007年アメリカ映画 (2008.05.08) |
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