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アメリカでは居住地区が、年収や人種によって決まってしまうことが多い。 黒人しか住めないわけではないのに、黒人居住区となってしまったり、ピスパニック居住区になってしまう。 反対に金持ちたちは、自腹を切ってガードマンを配置して、一種の自治区を作ったりする。
ロス・アンジェルスのサウス・セントラル地区での話。 ここは黒人居住区である。 ご多分にもれずに治安が悪い。 ここではダンスが盛んで、ラップ音楽にのせて、彼等・彼女たちは踊る。 この映画に登場するダンスは、よく見るラップダンスとちょっと違う感じがするが、 でもだいたい同じと言っていいだろう。 人間は、楽しいといっては踊り、哀しいといっては踊る。 踊りは健康な肉体だけあれば、他に何もなくても可能である。 フラメンコなどを見ても分かるように、ダンスというのは、歌と共に最も原始的な表現だろう。 この映画のなかでも、アフリカのヌバ人のダンスと重ねて、映し出されるシーンが何度も登場する。 そして、現代の貧しい人たちにとっても、踊りは最も手軽な表現方法だろう。 そこに何か物語を作らなければ、映画にはならない。 映画はトミー(トミー・ジョンソン)という若者が、ダンス・パーティを広めることから始まる。 もともとダンスの好きだったこの地の人々は、彼のもとに集まり、ダンスに興じるようになる。 それはclownsと呼ばれるグループになる。 やがて、彼のもとからタイト(タイト・アイズ)がわかれ、krumpersという別のグループができる。 2つのグループが、大きな会場でダンス対決をする。 映画としては、大会への過程を見せるのだが、当然にダンスがふんだんにでてくる。 シャープなリズム感から、肉体がしなやかに動く。 激しくセクシーで、実に楽しそうである。 ステップなどに特別の決まりはないらしいが、それでも上手い下手がある。 足も動かしはするが、足を地面につけたまま、上半身とくに腕の動きが中心である。 監督自身が、この地域に住んでいるということで、身近なシーンを取り上げているのだろうが、 ダンスとしては素晴らしくても映画としては物足りない。 監督は写真家だというが、映画と写真は別物のようだ。 物語作りを別にしても、露出や画面構成が充分ではないのが気になる。 今、ニガーとかニグロといった言葉は、超差別用語であり、ニュースで使ったら大事件になる。 当時は許されていたのかと思うと、隔世の感がある。 そして、もう一つ驚いたことがあった。 それは、我が国のトヨタ自動車が、ダンス大会のスポンサーになっていたことだ。 トヨタは日本とアメリカでの活動の仕方が、随分と違うようだ。 2005年アメリカ映画 (2006.2.27) |
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