タクミシネマ       僕のニューヨークライフ

僕のニューヨークライフ   ウディ・アレン監督

 ウッディ・アレンは1935年生まれだから、すでに71歳である。
いまだに現役であるのは立派だが、この年齢の人間に、新鮮味や大胆さを要求することはできない。
かつては活きの良かった彼の演出も、マンネリと化した感は否めないが、彼の撮るニューヨークは綺麗だ。

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 喜劇作家ジェリー(ジェーソン・ビッグス)の独白から、映画は始まる。
そして、ジェリーの話に、トーベル(ウッディ・アレン)が先輩として、人生相談にのるかたちで、物語は進行していく。
ジェリーは恋人を振って、アマンダ(クリスティーナ・リッチ)と新たな恋に陥る。
彼にとって、それはまったく運命的なものだった。

 しかし、アマンダは問題の多い女性だった。
最初のうちこそ、2人は熱烈な関係だったが、数ヶ月もしないうちにアマンダの心はジェリーを離れる。
そして、セックスを拒否。
彼女が浮気をしているなどと、想像だにしない気の良い彼は、2人の関係を悩み始める。
アマンダの母親ポーラ(ストッカード・チャニング)が転がり込んできたことも、悩みを増大させた。

 ジェリーとアマンダの関係を軸に、ドーベルが絡むという展開で進んでいく。
この監督の毎度の例にもれず、取り立ててこれと言った事件が発生するわけではない。
小さな日常のできごとを、ウィットにとんだ目で描くのが、彼の真骨頂である。
かつては斜に構えたニューヨーク子といったところだったが、今ではあたりまえの年寄りである。

 アマンダを演じるのは、怪優クリスティーナ・リッチだが、相変わらず普通の人ではない。
彼女はすでに存在自体が、変人じみており、この役にはぴったりである。
演技は下手だとは思わないが、ちょっと上滑りしている感じがする。
はたしてあれが彼女の地なのかどうか分からないが、演じる役がいつもああだから、つい日常生活も変わっていると思いたくなる。

 ウッディ・アレンはユダヤ人であることを、まったく隠しもしないが、ユダヤネタというわけでもない。
変質的な知識人と言ったところだろうか。
ちょっと退屈な映画だった。
原題は「Anything else」
2003年アメリカ映画
 (2006.1.22)

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