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原題は「I love huckabees」なのだが、「ハッカビーズ」という題と内容は関係ない。 アメリカ映画がコメディ仕立てで、哲学をやろうとしたのだが、消化不良で何が言いたかったのか良くわからない。 自分が自分でないことが可能か、と何度も問うているので、かろうじて実存が主題だと判るが、消化不良である。
野生の自然が残る広大な敷地に、開発の噂が持ち上がる。 その土地は現在でこそ市有地になっているが、永久に自然のままに保存するという約束で、とある女性が遺産を寄付したのだった。 彼女は開発の話を聞いて、怒り心頭である。 そして、環境保護を訴える自然保護派は、全面的に開発反対である。 ハッカビーズはデパートなのだろうか。 開発の中心になったハッカビーズだが、このご時世では全面的な開発は不可能である。 そこで半分を自然のままに保存し、半分だけ開発することにする。 開発推進派と反対派の確執は、どこでもお馴染みである。 これだけでは面白い話にならないと見たか、哲学探偵なるものを登場させる。 内なる自己を発見せよとでも言うのだろうか。 ブラッドの恋人ドーン(ナオミ・ワッツ)や、狂った消防士のトミー(マーク・ウォールバーグ)、それにフランス人の不思議な女性カテリン(イザベル・ユベール)がからんで、話はどんどんと混みいっていく。 石油の使用に反対するアルバートは、ごりごりの自然保護派だが、ちょっと自己意識に不安がある。 哲学探偵に瞑想をさせられ、自己意識を探す。 彼は9.11以降、おかしくなってしまった消防士のトミーと意気投合する。 おかしくなってしまった消防士はあるだろう。 アメリカの正義を信じられた消防士が、9.11以降、放心状態になり、自然派に転向していくのは大いに考えられる。 価値が崩壊すると、古いものに還ろうとするのは自然である。 彼は消火現場にも、消防車に乗らずに自転車で向かう。 しかし、哲学探偵が登場することから、実存主義や非2元論などがかたられて、話の行方がわからなくなる。 しかし、ハッカビーズのキャンペーン・ガールとしては、そんな格好は許されない。 当然、ブラッドとドーンは対立する。ドーンはキャンペーン・ガールを首になる。 そして、消防士のトミーと恋人になる。 アルバートは自己を取り戻したのか、カテリンと恋仲になってしまう。 アメリカ人なら笑える宗教批判や、9.11以降の状況も、我が国にいてはちょっと馴染みにくい。 映画で哲学をやるのは、とても難しいのは良くわかる。 しかも、それをコミックでやろう、という心意気は買うが、完璧に消化不良である。 芸達者な俳優がたくさん登場しているが、役者たちも何がなんだか判らなかったのではないか。 2004年アメリカ映画 (2005.08.21) |
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