タクミシネマ         オースティン パワー ゴールドメンバー

オースティン パワー ゴールドメンバー
ジェイ・ローチ監督 

  007のパロディから始まったこのシリーズも3作目である。
マイク・マイヤーが1人2役で演じる、オースティンとドクター・イーヴィルの掛け合いは、なかなか上手くなってきた。
しかし、2人が同時に登場するシーンは、スタントマンであるのが判ってしまうのは、ちょっといただけない。
前2作が好評だったので、制作費も潤沢なせいでか、お金がかかった仕上げである。

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 冒頭の数分は、あっと驚くトム・クルーズのオースティンや、グネス・パルトロー、それにケヴィン・スペイシーのドクター・イーヴィル、ダニー・デヴィートのミニ・ミーなど、有名俳優たちの仮装大会である。
ここらあたりはどっと笑わせてくれる。
そこから話は本編へと繋がっていく。
最初のノリは実にいい。

 スティーヴン・スピルバーグがちょっと出たり、ほかにも有名俳優が登場する。
出演者たちが音楽に合わせて、トンボを切ったりする様は、小気味良い展開である。
また、多くの映画からパクってきたシーンの連続で、それはそれで笑わせる。
しかし、もとの映画を知らないと笑えないのが、いささか残念である。

 下ネタが多いのは今回も変わらず、男性器や女性器の話がぽんぽん飛びだし、字幕の翻訳は苦労したことと思う。
ダイエットに成功して、たるんでしまった皮膚を、膣のようだというのは、日本語にはならないだろう。
わが国の映画では、あれほど露骨に下ネタを扱うことはない。
アメリカ映画は健全といえば健全と言えるが、もう少し何とかならないものだろうか。

 イギリス映画である007をパロディとして始まったので、オースティンはイギリス人だと言うことになっている。
彼がイギリスの女王からサーの称号をもらうとか、パブリックスクールにいたとか、このあたりもエスタブリッシュへの皮肉なのだろう。
ボンドガールに対抗して、毎度美女が登場するが、今回は黒人の美人フォクシー(ビヨンセ)である。


 オースティンとドクター・イーヴィルは、じつは双子の兄弟だった。
ベルギー人に拾われたドクター・イーヴィルは悪人になり、オースティンは善人になったとか。
あっと驚く展開だが、この手の映画はどう転んでも許される。
じつはあれは間違いとやれば、つぎの話は通ってしまう。

 オランダ人をコケコケにしたり、顔に大きなホクロのある男をバカにしたり、やや座りの悪いジョークでもある。
身体の部分をちゃかすのは、あまりきれいなジョークではない。
ドクター・イーヴィルのミニ・クローンであるミニ・ミー(ヴァーン・トロイアー)が、オースティン側に寝返るのはおかしい。

 東京がそうとう大きく舞台として登場するが、日本のイメージは相変わらず、相撲、冨士山、芸者、それにハイ・テクノロジーである。
東京の首都高速道路を撮影し、それをバックにセットを組んだのだろう。
きらびやかな夜のシーンが連続する。
最近新築されたとある企業の本社ビルが、ロボット産業の本社ビルとして使われていたり、わが国を表面上はよく調査している。
ロボット社の社長は、シェフのノブ・松久氏が演じている。


 コメディというのは難しい。
とりわけシリーズ化するのは、非常に困難である。
その中ではよくやっているのだろうが、ここらあたりで打ち止めにして欲しい。

2002年のアメリカ映画   

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