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スパイ キッズ
ロバート・ロドリゲス監督

 敵国同士のスパイ、グレゴリオ(アントニオ・バンデラス)とイングリッド(カーラ・グギノ)が恋に落ちた。
そして、スパイ活動から引退し、 平和な家庭をつくって9年がたった。
子供が産まれ、彼らは今や小学生である。
長女のカルメン(アレクサ・ヴェガ)は賢く運動神経も抜群で、 長男のジュニ(ダリル・サラバ)はドジで少しのろい。
ここまでの描写がなかなかに面白い。

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 久しぶりにスパイ仕事のお呼びがかかる。
両親は張り切って出動するが、 たちまち悪漢どもに捕まってしまう。
それを知った子供たちが、両親を救うために本拠地へ乗り込む話である。
現代の映画らしく、SFXを多用して奇 想天外な展開を楽しませる。
アメリカ映画でありながら、メキシコ系の監督とスペイン生まれのヒーローで、なにやらラテンの臭いがする。


 ダメな大人を子供のスパイが救うというナンセンスもので、小道具から大道具まで実にこっている。
相当にお金がかかっているのはわかるが、 展開はやや単調で、ナンセンスもの特有のリズムがいまいちである。
それに家族愛をうたいあげるエンディングは、ちょっと気になるところでもある。
子供の目から見たら、家族がそろっていたほうが良いというのは、現在の家族の大多数が、1対の男女で構成されているからだ。

  1対の男女が同居して、独自に家族をつくるのは、最近のことだ。
何十人もの人が一緒に住んでいたこともあったし、一人で住むこともある。
それはその時代や社会の産業構造が決めることであり、家族観はその結果できあがるものだ。
単家族化している現在に、 核家族的な家族愛を歌うのは、時代錯誤であり反動的である。

 家族愛の称揚が、10人兄弟の3番目という、この監督の出自によるのでなければいいが。
2001年のアメリカ映画

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