タクミシネマ         ワイルド スピード

ワイルド スピード    ロブ・コーエン監督

 街道レーサーにはたまらない映画だろうが、多くの観客を集める映画ではない。
カー・レースのシーンが見せ物だと言えばいえるが、この映画はレース場でのそれではない。
夜に公道を自分たちで占拠して、勝手に楽しむいわば違法の素人レースである。
ところが素人レースといえども、270キロ以上もでているのだから、大した迫力である。

ワイルド・スピード [DVD]
 
前宣伝のビラから

 トラックを襲って、高価な積み荷をいただく窃盗団がいた。
彼らは3台の黒いシビックで、高速道路を走行中のトラックを襲った。
高度な運転技術をもった彼らは、次々と犯罪をかさねる。
しかし、ようとして行方が摘めない。
警察は囮捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)を、とあるチームに潜入させた。

 ドミニク(ヴィン・ディーゼル)をリーダーとするチームは、チューン・アップ屋を正業としていたが、裏ではトラックを襲っていたのだった。
話の展開は決まったもので、潜入したブライアンがドミニクの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)に好意を持つ。

 彼らの裏の仕事はなかなか判らなかったが、やがてミアを通じてブライアンはそれをつかむ。
彼らはトラックを襲ったが、今度は逆襲され危機に瀕しているところを、ブライアンに助けられる。
ここでブライアンの身元が分かってしまうのだが、ドミニクとのあいだに友情が芽生えて、ドミニクをメキシコへと逃がすという結末である。


 これと言った主題もなく、話の展開が面白いわけではない。
ただ登場する車と、その周辺を楽しむ映画である。
アメリカにはドラッグレースという独特の競技がある。
0〜400メートルを如何に早く走るかという、ただそれだけのレースだが、アメリカ人には人気がある。
軽い車体に大きなエンジンを積んで、タイヤのスキールを残して白煙もろとも飛び出していく。

 この映画はそのレースを公道でやる。
もちろんお金をかけている。
驚いたのは、そこに登場してくるのが、ほとんど日本車だったことである。
シビックやRX−7はもちろん、輸出されていないはずのスカイラインGT−Rが登場した。
ほかにもランエボ、ホンダ2000、ソアラなどが、ギンギンにチューン・アップされている。
日本車以外では、わずかにジェッタが混じっていたくらいだった。


 フェラーリと並んで勝負するが、ソアラがぶっちぎってしまう。
性能だけではない。
どれも車体をきれいに塗装されて、彼らの車への愛着がよくわかる。
若い時代、男の子が車にあこがれるのは、どこでも同じである。
しかし、最近の映画では女の子も、車に興味を見せ始めており、この映画でもドミニクの恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)が、さっそうと車をとばしてみせる。

 しかし、勝負が舞台の映画では、基本的にはマッチョな男に、フェミニンな女性という形はくずれていない。
男性レーサーや車を取り巻くのは、若くてきれいな女の子たちである。
ほんの少ししか布のない水着を着た女性たちが、ギャラリーにたくさん登場していた。

 車のチューニングにも、NOSというコンピュータの燃料噴射が登場している。
この手の映画は、かつてならすべてスタント・マンが運転したものだが、最近ではSFXを使っている。
迫力はあるのだが、なんだかリアル感が薄くなった感じも否めない。
B級映画に、たくさんのお金をかけて、映画製作者たちは楽しんだに違いない。

 2001年のアメリカ映画        

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