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女性監督自身の、8年に及ぶ派遣OL体験をもとにした映画だという。 仕立ては簡単で、アメリカのテレビ・ドラマ「アリー、マイ・ラブ」のイギリス・オチコボレ版といった感じである。 イギリス映画には、ときどき妙な雰囲気のものがあるが、女性監督がメガホンをとるこの映画も、いささか妙な仕上がりである。 まずはスコットランドでの話。主人公のジャニス・ベアード(アイリーン・ウォルシュ)を出産したときに、父親は出産のショックで死亡。 母親はそれ以来、外出拒否症になって、家のなかに閉じこもりきりである。 ジャニスがすべて取り仕切ってきたが、彼女も年頃になった。 母親の治療費獲得と一画千金を夢みて、ロンドンへと出てきた。 つまり、この女性は普通じゃないよ、と冒頭で宣言している。 中卒の彼女に、大した仕事があるはずがない。 派遣で仕事をするが、一風変わった性格だから、クビまたクビの日々。 職安でもとうとう相手にしてくれなくなる。 最後にロンドンでひょんなことから、地元スコットランドの友達に会ったことから、正社員への道が開ける。 しかし、そこも女性ばかりの職場で、上司のお眼鏡にかかったときだけ、正社員に昇格できるのだった。 女性ばかりの職場は、たわいがない。 ジュリア(パッティ・ケンジット)という上司が女王のように君臨し、ほかの女性たちは彼女のご機嫌とりに忙しかった。 つまりオベンチャラがいえないのである。当然、職場では浮き上がる。 しかし、感じたままのことを言っているうちに、いつの間にか人気者になってしまう。 産業スパイ事件に巻き込まれるが、それも都合良く解決されてしまう。 しかも母親が、スコットランドからロンドンへ連れてこられると、病気が治るというおまけ付きの気楽さ。 これと言った主題はなく、職場の風景を舞台にして、風変わりな女の子を動かして終わる。 「ショムニ」のようなテレビ・ドラマを見ている感じである。 おそらくイギリスの職場も、いろいろと問題が多いのだろう。 この映画も描いているが、職制が学歴と比例しているから、中卒となったら出世の道はない。 中卒の人たちは、おとなしく毎日を過ごすのだろう。 そして、貧乏な人たちは、話す言葉のアクセントも違うし、住む場所も違うようだ。 貧乏な街の代名詞だったイースト・ロンドンは、いまでは再開発されたのだろうか。 ユニークであるジャニスが、本当のことと感じていることを素直に言う、それがきちんと評価されたい。 そんな希望が伝わってくるが、現実はこの映画に描かれているように、ゴマスリが横行しているのだろう。 だから映画では、外れた女性のジャニスが、受け入れられていくに違いない。 出る杭が打たれるのはどこの国でも同じかもしれないが、出過ぎた杭は打たれないのもまた同じである。 わが国では、出過ぎるまでがなかなか大変で、少し出たぐらいでは打たれてしまう。 イギリスでは割と簡単に出過ぎになるようだが、それでも普通ではない性格はそんにいないようだ。 この映画の主人公になるくらいだから、ジャニスのような女性は少ないのだろう。 ジャニスの恋人ショーンをやったリス・エヴァンスが、なかなか良い感じだった。 今後が楽しみ俳優さんである。 監督第一作としては、そこそこにお金もかかっており、彼女の何が幸運だったのだろうか。 1999年のイギリス映画 |
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