タクミシネマ            インビジブル

インビジブル     ポール・バーホーベン監督

 生物を透明化する研究が、国防総省の管理下に地下の実験室で進んでいた。
そこは極秘の場所で、部外者は誰も来ない。
一度中に入ると研究に没頭したきり、なかなか出てこない場所でもあった。
透明にすることは簡単にできたが、元に戻すことがなかなかできなかった。
しかし、透明化したゴリラを元に戻すことに、とうとう成功した。
次は人間である。
ケイン博士(ケヴィン・ベーコン)は国防総省の許可を得ずに、自分がモルモットになっての人体実験に踏み切る。
プロジェクトは完璧ではなく、彼は透明化はしたが、元に戻れなくなってしまった。
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ぴあ−10.16から

 透明化したことによって、ケインは女性に性的ないたずらをしたり、邪な考えをおこす。

誰にも見られていないことを良しとして、さまざまな行動を繰り広げるが、やがて研究者仲間からスポイルされ始める。
そして、かつての恋人でもあり研究者仲間でもある女性(エリザベス・シュー)から、国防総省に報告されてしまう。
しかし、ケインは指導教授を殺して、国防総省への連絡を絶ちきってしまう。
隔離された実験室に閉じこめられた研究者たちが、ケインによって次々に殺されていく。

 透明化するまではそれなりに興味をつないでいくが、戻れなくなってからはただのドタバタ劇になってしまった。
透明化したら人に知られずにどんなことでもできる。
それが人間の心を揺さぶり、悪いこともやってみやすくする。
それはそうだろう。
しかし、ケヴィン・ベーコン演じるケイン博士は、透明化する前から悪者ぶりを発揮している。
また彼の外見はチンピラのアンちゃんで、とても研究者とは思えない。
全体に研究者仲間といっても、あまり研究者とは思えない風貌の人たちで、アメリカ映画としては珍しく全体にミスキャストだと思う。

 地下実験室に閉じこめられてしまった研究者たちにしても、ケイン一人を相手に右往左往してしまう。
最初にケインの天才ぶりが描かれたとしても、それなりに優秀だろう研究者たちの行動だとは思えない。
この映画で見るべきは、SFXである。
ほんの数年間の間に、SFXは非常に進歩した。
透明人間の描写などまったく不自然さはなく、まるで本物のようである。
しかし、映画の出来不出来はSFXとは関係ないという見本でもあった。
また余談ながら、「リービング・ラスベガス」などで見ていたのに、エリザベス・シューが意外に小柄で、しかも大変な肉体派だということを、この映画で知らされた。

2000年のアメリカ映画。


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