タクミシネマ        ダブル・ジョパディー

ダブル ジョパディー   ブルース・ベレスフォード監督

 刑が確定し、一度その刑期に服役したものは、二度と同じ刑には処せられない、という法律がある。
それをヒントに、サスペンスを作ったのがこの映画である。

ダブル・ジョパディー [DVD]
 
ぴあ(3.06)から

 リビー(アシュレイ・ジャッド)は専業主婦だったが、夫のニックは優しく子供もあり、アンジーという友だちもいて幸せな生活をしていた。
ニックは、リビーが以前から憧れていたヨットのモーニング・スターを買ってくれる。
実はこれが罠だった。
子供をアンジーに預け、二人で船出する。
ところが、深夜に目を覚ましてみると、夫が消えていた。
しかも、血だらけのナイフと飛び散った血痕が残っていた。

ニックには200万ドルの保険がかけられていたことから、リビーは殺人犯として逮捕され、実刑を言い渡される。
死体が上がらないのに実刑とはちょっと解せないが、そこは問わないことにしよう。

 無実の罪で服役するが、子供を預けたアンジーは接見に来なくなる。
ニックとアンジーは結ばれて、一緒に住んでいるのだった。
6年で仮出所したリビーは、子供を取り戻すべく、アンジーを探し始める。
しかし仮出所中は、保護観察官のもとで生活しなければならず、そこを逃げ出したので保護観察官のトラヴィス(トミー・リー・ジョーンズ)から追われる。
専業主婦だったリビーだが、獄中での6年間にたくましくなり、子供を捜して逃走劇を繰り広げる。

 思わせぶりなニックと、豪華なヨットの購入。
そして、アンジーの態度から、リビーが罠にはまることは予測でき、しかも、ニックは生きており、アンジーとくっつくことも予測できる。
そして、邪魔になったアンジーをニックが殺すだろうことも予測できる。
リビーを追いかけるトラヴィスは、最後にはリビーの味方になることも見える。
だから、この映画の見物は、リビーがどうやって決着を付け、子供に会うかである。
ネタが割れていて、謎解きの面白さはない。
それだけの映画なのだが、けっしてつまらない映画ではない。

 特別な主題はないが、リビーの演技のせいでか、そこそこに楽しめる映画に仕上がっている。
映画というのは不思議なものだ。
サスペンスでネタが割れていたら、楽しみはないようだが、観客の興味を引くのは主題だけではない。
先が判っていても、興味を繋ぐことはできる。
そんな映画の見本である。
B級映画だが、けっして入場料を返せと、言いたくなるようなことはない。
リビーを演じたアシュレイ・ジャッドが、最初の専業主婦だった頃のイメージから、強い女へと変身した様子を上手く演技している。

1999年のアメリカ映画。


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