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時期を得た良い主題で、丁寧に作られている映画である。 しかし、長すぎると言うそれだけの理由で、惜しいけれども一流映画の仲間入りができなかった。 自分の死を知った人間が、どう行動するかをお話にしたもので、実に深い人間的な考察がなされ、いろいろと考えさせられた。 脳天気楽と思われてきたアメリカ人たちが、哲学的な資質を身につけ始めたことが感じられて、欠点も目立ったが味わいの深い映画だった。
立志伝にのるほどの出世したビル(アンソニー・ホプキンズ)に、就寝中どこからともなく「イエス」と言う声が聞こえる。 死神はある若者の肉体を借りてこの世に現れたのだが、死神がその若者の身体を借りる前、つまり若者が若者自身であったとき、ビルの寵愛する末娘スーザン(クレア・フォラーニ)は、カフェでその若者に出会っている。 ビルは大会社を一代で築き上げた人物で、ニューヨークの本社や自宅以外にも、広大な終末住宅をもっている。 また同時に彼の会社は、他の会社との合併を検討していたが、ビルは合併後に自分の会社が解体・売却されるのを予感して、一方的に破談にしてしまった。 映画の筋は、それほど込み入ったものではない。 最近、死をめぐる映画は多い。 誰にも判らないはずのジョー・ブラックの正体だが、ジャマイカ出身の痛さで苦しむ老女にはばれてしまう。 近代人は自己相対化の目をもったがゆえに近代人なのだが、またそれゆえに近代や自分自身を無条件に肯定できない。 痛さから逃れたい彼女は、ジョーを死神と知りつつ、自分を死なせてくれと頼む。 死神がスーザンに恋をしたり、家族愛を見たり、裏切りを知ったりと、この世を体験することで、人間行動をくっきりと浮き上がらせる。 ビルを演じたアンソニー・ホプキンズが、古いイギリス流の重厚な演技ながら、実に上手い。 1998年のアメリカ映画 | ||||||
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