タクミシネマ        悦楽晩餐会 または誰と寝るかという重要な問題

悦楽晩餐会 または誰と寝るかという重要な問題
 ヘルムート・ディートル監督

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悦楽晩餐会 [DVD]
 ミュンヘンのレストラン・ロッシーニでの男女の動きを映画にしたものである。
なかなかに楽しめるのだが、いかにもドイツ的な後進的優越感があって、それがやや鼻につく。
ミュンヘンのレストランでありながら、ロッシーニはイタリアレストランであるのも、何だか悲しいやらおかしいやら。

 ロッシーニは、映画関係者が多く出入りしており、オスカルというプロデューサーとワフーという映画監督が、レストランの常連の顔役である。
世界で三億部売れたローレライという小説が映画化されるので、その話題をめぐってレストラン中が沸騰している。

 ローレライを書いた作家のヤーコブは人嫌いだが、食事のためにロッシーニの個室へと、毎晩自転車で通っていた。
ヤーコブはワフーは好きだがオスカルが嫌いで、オスカルのプロデュースでは映画化には応じない。
ワフーは映画化の契約ができたものとして、主人公のオーディションをすすめている。
しかし、なかなか適役がおらず、頭を悩ませていた。

 そこへ白雪姫と名乗る金髪の女性が登場。
幼顔の彼女は、たちまち並み居る男性たちを悩殺。
しかし、魔性のローレライの主人公を希望するだけあって、男性を手玉に取るのはお手の物だった。
まず、レストランのオーナーに近づき、彼を陥落する。

 その次ぎは、映画監督のワフーが、骨抜きになる。
彼は映画も止めて、彼女と同居しようとするが、映画に出たい彼女は、映画監督のワフーに用があるのであって、映画に関係のないワフーには関心がない。
ワフーとのベッドから出てきたその直後に、たちまちオスカルに乗り換える。

 最初のうち、実はもう一組の男女関係が進行している。
オスカルとボードという男性が、40歳になろうとする1人の美しい女性をめぐって、火花を散らしていた。
これはいわば騎士的な対決で、美しき女性を間においた男性の闘いだった。

 この女性は、二人の男の間を行ったり来たりするだけではなく、ほかの男性とも関係を持っている。
彼女の男性放浪は、いずれも愛されるとこによって自己確認を得るためである。
受け身的であるのだ、自分が愛するという積極性は眼中にない。
だから、男性たちがいくら自分にのぼせ上がってくれても、決して充実感は入手できない。
男性たちをけしかけて、自分への愛情表現をさせるだけである。

 2人の男性は、真剣ではあるが半ばゲームとして、この女性を争っていた。
それに対して、やはりそこの常連である医者は、真剣にこの女性に恋していた。
そしていつも、アッシー君を演じていた。
2人の争いが頂点を迎え破綻したとき、医者はこの女性にプロポーズする。
しかし、彼女はそれをを受けながら、翌日に返事をすると言って、その晩に自殺してしまう。
何という残酷さ。
でも、それが理解できてしまう悲しさである。

 ヤーコブの書いたローレライが、ドイツのプライドを刺激したとか、ドイツの優秀性を再確認したとか、パロディっぽいのだが、ドイツの優越感を感じさせる。
また、白雪姫は子供劇団の俳優だが、その座長とはゲイの関係にあり、妙な関係である。
ローレライの話を知っていれば、このストーリーはよく判るのだろう。
白雪姫を演じた女性の肉体が、すでに崩れていたのは仕方ないとしても、自然は残酷である。
1998年ドイツ映画。


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