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セレブリティ    ウディ・アレン監督

 ウディ・アレンが監督しており、リー(ケネス・プラナー)という優柔不断な男が、はた迷惑を繰り返しながらも何とか生きていく様を、コミカルに描いている。
このリーという主人公はウディ・アレンのことで、どもった話方などそっくりである。
映画の中には映画監督、脚本家などウディ・アレンの分身がたくさん出てくる。
芸能人などの有名人の生態を舞台にしながら、彼のアダルト・チャイルドぶりが主題である。

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前宣伝のビラから

 売れない芸能記者リーは、年代物の美しいアストン・マーチンにのって芸能人の取材に飛び回り、そのなかで知り合った女性たちとも上手くやっていた。
ところが、高校の同級会に出席し、自分だけが歳をとれていないことに愕然とし、人生をやり直す決意をする。
そこで、まず離婚である。

そして次の恋人が、荷物を持って自分のアパートへ引っ越してくると言うときに、彼は見初めた若い女性と恋仲になりそれも破談。
ところで、リーも言っていたが、あの格好いいアストン・マーチンはとんでもない値段だろうに、売れない芸能記者が乗れるのだろうか。
ちょっと不思議。

 一方、リーと分かれたロビン(ジュディ・デイヴィス)は、テレビのディレクター・トニー(ジョー・マンテーニャ)と知り合って恋に落ちる。
彼女は平凡な国語の教師だったが、彼と知り合ったことから、テレビのレポーターになり、あれよあれよと言う間に有名人の仲間入りをする。
また、ジョニー・ディップをなぞらえた俳優ブラントンにレオナルド・ディカップリが扮して、有名人の身勝手ぶりが演じられるが、セレブリティという題ほどには我が侭ぶりはない。

 有名人と言うだけで、身勝手や我が侭が通る人たちの風刺といった前宣伝だったが、映画自体はそうした主題ではない。
リーが女を作ったと言っては別れ、小説を書くと言っては挫折し、結局何もできずにいるモラトリアム状態を描いたものである。
しかし、それは時代がそうだというのか、それともリーだけがそうだというのかはっきりしない。
映画は達者な展開をみせはするが、何だか古い感じがし、監督28作目だが彼は時代に追い越されている。

 それにしても大した映画でもないのに、ウディ・アレンの映画には、メラニー・グリフィス、ウィノナ・ライダーなど有名な俳優がたくさん出たがるのはどうしたことだろう。
ちょい役では、映画出演の常連となった本物の有名人が何人か出ている。
最初にhelpと空に飛行機で書かせ、それが再び最後に出てくる演出は、気が利いている。
しかし、この映画をモノクロで撮る意味はどこにあったのだろう。
映画は写真と違って、モノクロの良さというのは少ない。
カラーの方がずっと良いのは自明だから、なぜモノクロなのか理解に苦しむ。
それは映画の中でも、同じことを役者に言わせていたが。  

1998年のアメリカ映画


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