タクミシネマ        アベンジャーズ

アヴェンジャーズ      ジェレマイア・チェチック監督

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アベンジャーズ [DVD]

 アメリカの映画だが、コミックスパイ映画とでも言うのだろうか。
1960年代にイギリスのテレビで、人気のあったシリーズの映画化だという。
レイフ・ハインズ、ユナ・サーマン、ショーン・コネリーとそこそこの俳優が出ている。
活劇も盛りだくさん、爆発もするし、SFXもたくさん使われているが、どうも面白くないのである。
なぜだろう?

 この映画はマジなスパイものではない。
コミック仕立てだから面白いと言うより、おかしかったと言うべきなのだろうが、おかしくなかったのである。
これをおかしがるのが、イギリス人だと言ったら、まったく嘘だと思う。
台詞のやりとりには、所々におもしろさを感じたが、ストーリーの展開自体が稚拙で山をつくってないから、観客を映画に引き込めない。
性的なジョークを会話に挟むのも、なじんでおらず、とても大人の会話とは言えない。

 レイフ・ハインズ演じるジョンは、いわば007である。
それに対して、ユナ・サーマン演じるエマは女性科学者。
対するショーン・コネリーが演じる悪者は、イギリスの政府機関を追われた科学者という設定である。
気象を自由にコントロール出来る技術を身につけたショーン・コネリーは、各地を氷点下にすると言って、まずロンドンに雪を降らせる。
街を氷点下の壊滅状態にすると言って、政府を脅して金を取ろうとする。
しかし、こうした設定自体がすでに時代錯誤で、金を奪ってどうするのだと言う疑問が出てしまう。

 世界制覇は良いが、政府から金を取るためには、その先が見えてなければ観客は納得しない。
世界制覇のプロセスを楽しむという展開はありだが、制覇してどうするのだ。
独裁者が世界制覇すれば、その後で彼は楽しいだろうと思わせるものが欲しい。
それでないと、観客はのれないのである。
地球上に未開の地があった時代には、物語の主題が世界制覇でも魅力を保てた。
未開地の存在が想像力を刺激した。
しかし、地球はすでに飽和状態で、何かを制覇しても状況は変わらないと、先進国の人間は知ってしまった。

 限界が近づいてきたという意識があるから、それを何とか打ち破ろうとして皆もがいているのに、いまだに単純な世界制覇では誰も話題にのれない。
1960年代はイケイケだったから、こうしたスパイ物も人気があったんだろうが、まったく古い視点である。
たくさんお金もかかっており、出演者も有名俳優をそろえていながら、面白くなかった。
1998年アメリカ映画。


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