タクミシネマ        6デイズ/7ナイツ

6デイズ、7 ナイツ       アイバン・ライトマン監督

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6デイズ/7ナイツ [DVD]

 今時こんな映画を作ったら、女性たちが怒鳴り込んでくると思うのだけれど、まったくもってひどい映画だった。
ハリソン・フォードが主演しているのだが、その相手役は若いアン・ヘッシュである。
ヒロインにあんな単純脳天気な性格付けをしたのでは、名のある女優に断られるのは当然だろう。

 恋人とバカンスに行ったロビン(アン・ヘッシュ)は、バカンス先まで仕事が追いかけてくる。
バカンス地のすぐ近くのタヒチで撮影があり、それに立ち会って欲しいと社長から電話。
仕方なしにそれを承知した彼女は、小型飛行機で一人タヒチに向かう。
それを運転しているのは、現役を引退したケイン(ハリソン・フォード)である。
天候が急変し、とある島に不時着する。
そこは無人島で、しかも近くには海賊も出没する。

 砂浜に着陸はできるが、岩にあたって車輪が破損。
しかも落雷で無線が使えなくなった。
二人だけで、この島に閉じこめられてしまったのである。
てんやわんやの騒動の末、元日本軍の飛行艇のフロートを見つけて、何とか島を脱出。
その間に二人の間には、何とはない恋心が芽生える。
やっとの事で、恋人のいる島に帰り着くが、ケインは海賊の爆弾で重傷を負っており、着陸はロビンの仕事となる。
何とか無事着水して、二人はそれぞれの日常へと離ればなれになりそうになるが、ロビンはニューヨークへ帰る飛行機から、搭乗直前に降りてしまう。
そこへケインが来て、二人は結ばれる。

 絶海の孤島に不時着し、二人しかいないなかで恋心が芽生えるという展開は、読めてはいても上手く作れば映画になる話である。
しかし、まず最悪なのがロビンの性格付けである。
ニューヨークの雑誌社で副社長を務める身でありながら、軽佻浮薄落ち着きがなく、状況判断がまったくできない。
自然の中に置き去りにされたときの文明人批判だろうが、それを女性にあてはめているのは、性差別も良いところである。

 マッチョな男が、サバイバルゲームに強いかというと、必ずしもそうではない。
自然を相手にして何より必要なのは、冷静な観察力であり、深い洞察力なのだ。
そして何よりも柔軟な適応力である。
それは都市に生活していても、充分に身に付くことであり、野生児だけがそれをなし得るのではない。
女性だって充分にサバイバルできる。
サバイバルの最中には、極限状況などほんの瞬間的で、その時はじっとしているのが正解だろう。

 ハリソン・フォードの魅力を描く映画なのかも知れないが、いかにもご都合主義的で、映画としての魅力は全くない。
彼はものすごい高給を取るのだろうに、なぜこんな企画が通るのか不思議である。

1998年アメリカ映画。


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