タクミシネマ              トップレス

 トップレス     ハリー・シンクレア監督 

 邦題はトップレスというが、原題は「Topless women talk about their lives」というものである。
この題は映画の中で登場する映画の題という、ひねった映画である。
リズという女の子が中絶に行くが、一週間間違えてしまう。
すでに17週を過ぎているので、堕胎できなくなる。
それから出産までの日常を描いたもので、揺れ動く彼女の気持ちが良く伝わってくる。

 ジェフという男と何度かセックスして、すっかりのぼせ上がっているリズは、堕胎できずに病院から帰ってくると、ジェフから絶縁を宣告される。
何と彼には恋人がおり、彼女が外国から帰ってくるので、これで二人の関係も終わりだという。
がっかりしていると、職場も首になる。
そこへかつての恋人が登場し、よりを戻したいと言うが、彼女はもうその気がない。
しかし、どうもその男がお腹の子供の父親らしい。

 自分の生き方に悩み、親友の女の子に相談したり、お腹の子供抱え生き方を求めて煩悶する。
その友人で、映画を撮っている男が心身症気味なのだが、友達の女の子は何だかほっておけず、いろいろと気を使う。
彼が撮った映画の上映会があって、友達たちが見る。
これが最低の映画だけど、誰も本当のことを言わないで、誉めている。

 リズの親友が、マオリの男と結婚する。
その結婚式に、マオリの部落にみんなで行くが、映画の本当の感想をマオリの男が言ったことから、はや別居となる。
その後、ジェフは恋人に捨てられたり、それでもジェフに気があるリズだったり、父親志願のかつての恋人とセックス抜きの同棲を始める。
この父親志願の男はリズに気があるのだが、すでに熱の冷めたリズは煮え切らない態度で、たわむれに愛していると言ったりして、自己嫌悪に陥って悩む。

 愛していると言われた父親志願の男は舞い上がって、ジェフが送りつけた赤ちゃん用の靴を突き返しに行く途中で、オートバイを転倒させて死んでしまう。
ちょうどその時、リズは陣痛が来て病院へ行くが、途中で生まれそうになり、ちょうど出会った映画フリークのさきの男に助けられる。
しかし、彼の連れて行ったところは、何と獣医さん。
彼女はそこで赤ちゃんを出産する。
この出産シーンは、彼女が本当に生んだのかどうか分からないが、臍の緒が付いた赤ちゃんが登場して驚いた。

 映画としては特別なところはないが、若い人たちの揺れ動く心理を淡々と画面に展開しており、個人が拠り所を求めている様子がわかる。
この映画はニュージーランドのものだが、ニュージーランドというと羊や農業の国という気がしていたが、やはり近代化はこの国をも襲っている。
しかし、近代化の第二列にいる国らしく、先鋭化がまだまだそれほどではない。
映画はその国の状況を、本当に良く表す。
1997年ニュージーランド映画。


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