タクミシネマ　　　　　　　　　　　　　　大いなる遺産

　同じ町に住む大金持ちの家から、庭仕事を依頼されたおり、ボーイフレンドはフィンを連れていく。
すると、その家の女主人に見込まれて、その後フィンは毎週土曜日にその家に行くことになる。
そこには同じ年頃の女の子エステラがおり、彼女に憧れるが、所詮住む世界が違った。
成人するまで土曜日の対面が仕事になり、その報酬を彼は生活費とする。
その後、姉は蒸発。
姉のボーイフレンドが育ててくれるが、絵を描くことは止めて漁師となる。

　数年たったある日、ニューヨークの弁護士がフィン(イーサン・ホーク)にニューヨークで個展をやれと、飛行機代と千ドルもってくる。
てっきり女主人の差し金だと思いこんだ彼は、その誘いにのってニューヨークへ出る。
ニューヨークでは画商が待っており、住むべきロフトも用意されて、至れり尽くせりの生活が始まる。
個展も順調にいって、絵も完売。
彼は満足の頂点にいた。
ニューヨークでエステラに再会するが、もはや彼は貧乏な男ではない。

　エステラ(グウィネス・バルトロウ)に惚れて、一度はベッドを共にするが、個展のオープンの日に彼女は他の男と結婚してしまう。
そこへ、ある男が彼のロフトに電話を借りに入り込む。
なんとその男は、あの脱獄囚だった。
人の好意を受けたことがない彼は、フィンの親切に感動した。
その恩返しのために、彼の絵の才能を伸ばさせようとニューヨークへ呼んだのであった。
女主人が支援してくれているとばかり思っていたが、彼が今まで隠れて支援していた。

　映画としては平凡な出来である。
偶然が多すぎるし、最後のどんでん返しも、偶然に頼りすぎている。
また女主人との関係はいいとしても、エステラとの関係はぎこちない。
まずだいたいエステラが魅力的でない。
エステラは単なるお金持ちのぼんぼんで、性格だって悪いし美人でもない。
アルフォンソ・クアロン監督のアメリカ映画。
原作はディッケンズで、1946年作に続く、2度目の映画化である。
1997年アメリカ映画。