タクミシネマ 　 　　　　　　　　　　　　　　 悪魔のような女

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悪魔のような女 [DVD]

　愛人シャローン・ストーン、妻イザベル・アジャーニと、もう一人の女性が私立探偵として、女性ばかりが活躍する映画である。
カジノでは好演だったシャローン・ストーンは、この映画では怒鳴るばかり。
イザベル・アジャーニは全裸を見せるだけあって、好色な感じで体がとてもきれい。
存在感というか安定感というか、いい雰囲気だったのは、私立探偵をやった女性キャッシー・ベイツである。

　妻と愛人が共謀して、夫を殺すところから話しは始まる。
大男の夫に、睡眠薬を酒に混ぜて飲ませ、バスタブにつけて溺死させる。これが大変な重労働である。
シャローン・ストーンにしてもイザベル・アジャーニにしても、小柄な女性。
それが、泥酔している大男を、浴室まで引きずっていき、気がついて暴れる男を力づくで溺死させる。
そして翌朝、二階の浴室から死体を車まで運び、学校のプールに投げ込む。
非力な女性には、この殺人は、実際には不可能としか思えない。

　プールへ投げ込んだ死体が、いつになっても上がってこない。
しびれを切らしたイザベル・アジャーニは、プールの水をぬいて見るが死体はない。
夫を殺したこと自体は後悔していないものの、死体がなくなって本当に死んだのだか不安になってくる。
死体が上がったという新聞記事を見て、それを確認に行くが別人だった。
そこで、私立探偵の女性と知り合う。
彼女が捜査を始めると、話しは意外な方向に発展する。

　心臓の悪いイザベル・アジャーニは、しばしば心臓発作をおこしていた。
殺したはずの夫が生き返ると、イザベル・アジャーニは心臓発作で死ぬだろうという読みで、実は夫とシャローン・ストーンが、妻を抹殺しようとした狂言だった。
なんとも、手の込んだ殺人である。それなら、大男の偽装殺人などせずに、他に方法はあるだろう。

　イザベル・アジャーニは、なかなか死なない。
死んだはずの夫が渾身の演技で、イザベル・アジャーニを驚かすと、やっと死ぬ。
そこで、二人が喜んでいると、イザベル・アジャーニが生き返り、二人の共謀がばれてしまう。
しかし、ここからが判らなくなる。なぜか男は、女性二人を殴り付ける。
まず、シャローン・ストーンを殴って気絶させ、逃げたイザベル・アジャーニをプールのところで殺そうとする。
そこへ息を吹き返したシャローン・ストーンが追ってきて、共謀者であるはずの男に鉄熊手で傷を負わせる。

　男はなかなかしぶとく、傷を負いながらシャローン・ストーンをプールに引き込んで、溺死させようとする。
それを見たイザベル・アジャーニが、今度はシャローン・ストーンを助ける。
再度二人で、男を溺死させる。プールから上がってきた女性二人を、私立探偵が迎える。
彼女は、イザベル・アジャーニを殴って傷を付け、これで正当防衛が成立するといって、映画は終わる。

　誰が悪魔のような女だったのだろう。
シャローン・ストーンかと思うが、狂言殺人だと知っていればこそ大胆になれたのだろう。
むしろ途中から、イザベル・アジャーニがおとなしい顔をして、殺人の罪をシャローン・ストーンにかぶせようとして、これが悪魔かと思うが違った。
私立探偵の女性が、殺人を肯定するので、これが悪魔か。

　三人とも、悪魔のような女だったのか。
もし、女性は殺人なんか犯さない、夫なんか殺さないというのに、共謀して殺したというのであれば、そんなことはないとしかいえない。
女性だって、殺人を犯すことはいくらでもある。よく判らない映画だった。