タクミシネマ                  トゥーデイズ

トゥー デイズ       ジョン・ハーツフェルド監督

 ロス・アンジェルス近郊の町、ステューディオ・シティでの二日間の話。
オリンピックのスキー選手でありながら、どうしてもメダルに手が届かない女性ベッキーの前夫ロイが遊びに来て、彼女の隣に寝ている。
そこへ侵入した男二人が、ベッキーには鎮痛剤を注射し前後不覚にして、隣のロイを殺す。

 この二人は、リーが主犯、ダズモがリーに雇われたドジな元殺し屋。
ダズモは今はクレープ屋の親爺をしている。
殺人の後、仲間割れして、ダズモは車ごと爆死させられるが、彼はすんでの所で脱出し、助かる。
ロイの殺人には裏があって、ベッキーとリーは知り合いで、ロイを殺すことを計画。
ただし、ベッキーにはどこで殺すかは知らせておらず、自分の知らないところで殺すとばかり思っていたベッキーは、目が覚めたら隣でロイが死んでいるので、びっくり仰天。

 この事件から、ベッキー、リー、リーの愛人、ダズモ、ダズモが逃げ込んだ家の男、その秘書、男の姉である看護婦、それに加わった自殺志望の元映画監督、それに売春取締役の刑事二人が絡んで、物語は展開する。
ロイ殺しは、ロイの保険金目当てだったらしいが、すでにベッキーの家には三万ドルあるという。これが判らない。

 何となくのんびりとしながら、しかも洒落た雰囲気の映画で、いくつか疑問が残りながらも、不思議と楽しめた。
現代のクールな人間模様を描いているのだと思うが、ストーリーがいまいちよく分からない。
殺人の動機が、保険金目当てだとしたら、なぜベッキーの家に三万ドルもの大金があるのだ。
しかも、リーの愛人がロイとも関係があったらしく、そこもなんだかよく分からない。
むしろ、ダズモ関係のほうが面白く、ダズモと秘書の絡みや、元映画監督と看護婦との絡みなどが、妙なリズムで展開しておかしい。

 この映画のカメラがよかった。撮影を誰がしているのか判らないが、露出の取り方が良く、色が実にきれいに出ていた。
全体にややアンダーな感じだが、決して暗くはなく、つぶれてもいない。
むしろ、艶やかな色である。顔のアップのシーンにしろ、夜の風景にしろ、あれだけ再現できるのかと驚くほどである。
おそらくライティングと露光の計算が良いのだろうが、時として室内の露出に合わせているため、扉から見える外部が飛んでいたりして、初歩的なミスも見えた。

 映画の場合は、スチールほど厳密な露出を要求されないと思うが、動きがあるだけにどこで露出をとるか難しいのだろう。
ワンカットの中で明るいところから暗いところへと続くと、どちらの露出を撮るべきなのか困ることもあるだろう。
1996年アメリカ映画


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