タクミシネマ                  ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合

ナッティ プロッフェサー クランプ教授の場合
トム・シャドヤック監督     

 エディー・マーフィーのコメディーである。180キロのデブさんだが、彼はいたって気が良い。
彼は、その醜い体ゆえに気も弱く、何事にも消極的であった。
しかし、遺伝子組み替えの研究から、彼は痩せ薬を発明する。
初めはハムスターで実験していたが、一目惚れした女性のために、自分でその薬を飲んでしまう。
その後はお決まりの、薬が切れるともとに戻り、また薬を飲む繰り返しの中に爆笑の映画である。


 お金もかかった映画で、お手軽な作りではないが、話はたわいない。
一つ感じたのは、彼が痩せたときに出現する性格が、実に攻撃的で露出的なのである。
もちろんデブの時と正反対の設定になっているのだろうが、あの性格がアメリカでは評価される一面があることは、日本人にはやはり馴染みにくい。
日本人には奥ゆかしいとか、思いやりとか、優しいと言った性格が好感をもって迎えられるから、あまりにも積極的な性格は高い評価を受けない。
むしろ厚かましい奴だと言われそうである。

 FSXができたので、随分といろいろなことができるようになった。
デブになったり痩せたり、その変化ももちろんFSXである。
ここでのFSXの使い方がうまいし、fsxがなかったらこの映画は成立しなかっただろう。
しかし、むしろfsxではないところのほうが面白かった。
とくにクランプ教授が、かれの家族と食事する場面が何度かでてくるが、実に下品ではちゃめちゃ。
強烈なギャグで感心した。

 二重人格で、一人の人間のなかに、デブのクランプ教授とスマートなクランプ教授がいるという設定は、ジム・キャリーの「マスク」を思わせる。
とくに最後のシーンで、一つの肉体を両者が殴りあうのは、明らかにその影響をうけた演出である。最後は、太っていてもいい。
そのままの自分を認めようと終わり、このあたりも今風かも知れない。まさに娯楽映画だった。
1996年アメリカ映画。


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