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黒人映画というと、決まって麻薬と犯罪が描かれるが、この映画に、それはまったく登場しない。 今やこれが多くの黒人たちの現実であろうと思う。 犯罪や麻薬を描くのは、白人の目から見た黒人世界だろう。 犯罪者ばかりだったら、黒人は誰も生活できないではないか。 スパイク・リー監督とは反対の立場だが、黒人監督ならではの視点であり、それを映画化させたパトロンたちの器量を評価したい。 ダリウス(ラレンツ・テイト)は、詩の朗読をするナイトクラブで、ニーナ(ニア・ロング)と出会う。
男性が女性に声をかける構造までは崩れておらず、女性は男性を待っているが、自立しつつある女性は、おとなしいだけの昔の女性とは違う。 ニーナはカメラ・ウーマンだし、この映画の舞台はシカゴだが、職業を求めてニューヨークへと行く。 この映画はきわめて古典的な作りで、二人の心理描写を中心にして淡々と進むだけである。 この映画にサンダンスの観客たちは賞を与えたと聞いて、サンダンスの評価は本物だと感激しばしである。 しかし、問題はある。 女性の社会進出が当然となった現在、黒人が黒人だけの世界を作ったら、女性の社会進出はどうなるのか。 そうした意味では、この監督は現実へのメッセージを投げかける努力を、放棄しているように見える。 28歳という若さだが、もっと破天荒に自分の主張を打ち出さないと、今後の創作活動の展開に疑問が残る。 良心的な主題と作りの映画が、きちんと評価されるサンダンスを半ばうらやましく見ながら、良い映画であることは認めながら、いまいちの力を期待したい映画だった。 1996年のアメリカ映画 | |||||||
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