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芸術家として全盛を究めていながら、孤立していたアンディ・ウォーホール(ジャレッド・ハリス)に挑んだヴァレリー・ソラナスを、リリ・テイラーが演じている。 ウォーホールの主宰していたファクトリーに出入りする人間模様を背景としながら、フェミニズムの先鋭だったヴァレリー・ソラナスへ捧げる賛歌である。 ウォーホールは規格品の大量生産という、工業社会の理念にしたがった芸術を打ち出した。 ヒッピー、ドラッグ、セックス、ゲイ、ロック音楽など、その動きはそれまでの価値や道徳を根底から揺さぶっていた。 ヴァレリー・ソラナスは、それまでの男性支配の社会に根底から反逆した。 彼女も、男性支配を男性の肉体による支配と捉えた。
彼女が名乗ったSCUM(the society of cutting up men)は、男性支配に直接反逆した。男性の肉体に、女性の肉体を対置し、男性支配を弾劾した。 しかし、肉体に肉体を対置することは、同じことの繰り返しに過ぎない。 ウォーホールが工業社会の限界を展開してみせているとすれば、彼女はその先を見せようともがいていた。 時代に支えられない革命児は、先鋭化して崩壊せざるを得ない。 映画のなかでみせた、路上で男に小銭をたかる彼女、煙草をくわえながら立ったまま男の性の相手をする彼女は実に潔かった。 リリ・テイラーは下品でエキセントリックで、しかも先鋭的な女性を好演している。 ヴァレリー・ソラナスの実生活から離れて、彼女の主張をもとにフィクションとして構成したほうが、彼女の主張が伝わってきた。 1996年のアメリカ・イギリス映画 | |||||||
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