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カメラが引くとその飛行機によりそって、翼に自分の乳房を押しつける女性キャサリン(デボラ・アンガー)があらわれる。 彼女があえぎ顔をすると、後ろから男性が近づいて、スカートをめくって愛撫を始める。 この導入が、すでに陳腐である。 主人公のカップルは性交の快楽を求めて、互いに公認で他の相手と性交する。 狂言回し役のヴォーン(エリアス・コーティアス)によって有名人の死亡事故が再現され、実際に車をぶつけるのがショウーとなっている。 D・クローネンバーグ監督は、車という物体を人間に擬人化する。 性は肉体という物質の上にあるが、それは性器という物体に局限されない。 車内での性交をのぞくと、性交体位は男性が女性の後ろにいる後背位が多い。 男性が乗る車が古いリンカーンのオープンで、女性が乗る車がユーノスというのも、そしてリンカーンをユーノスの後ろから軽く追突させるというのも、通俗的な男性中心的な描写である。 下肢障害の女性が、メルセデスのショールームで販売員に手伝って貰いながらシートに座るとき、補助具でシートの革を破るのは面白かった。 成人指定の映画でありながら、女性もたくさん見に来ていたが、この映画を支える感覚は古い。 しかし、いまや性表現の規制はほとんどなくなり、性の本質を追及できる時期に来ている。 この映画には、性を巡る観念がきわめて男性中心的で、性や性交を男女の関係と捉える視点がない。 | |||
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