タクミシネマ           エンパイア レコード

 エンパイア レコード     アラン・モイル監督

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エンパイア レコード [DVD]
 ニューヨークからほど近い田舎街にあるレコード店が、大手企業に買収される噂があった。
その話しを聞いた店員が、それを防ぎたいと考えた。
いくらか知恵遅れの彼は、一日の売上をギャンブルで増やし、その金で店の買収を防ごうとする。

 アトランティック シティーに出かけた彼は、もちろん一文なしになって帰ってくる。
ところが、このレコード店は不思議な店で、店長はじめ全員が音楽が好きで好きでたまらない。
誰も彼のことをとがめない。
店のオーナーがきて、いよいよ買収かというときに、ハプニングが起こり買収されずにハッピー エンドとなる。
ただそれだけの映画だが、ロック、ヘビメタ、ラップと言った音楽が実に小気味よく展開し、とても楽しい映画である。

 雇われ店長は30半ばの大の音楽好き。
店長室にはドラムがセットされており、嬉しい悲しいと何かにつけてそれを叩く。
店員たちは、皆若くほとんどが高校生である。
現代では音楽がないことは考えられない。
若い高校生たちがそれぞれに悩み、生き方を模索していることが淡々と描かれている。
外見上は普通に見える子でも、内心は不安でいっぱい。
優しい現代っ子の内面を見せる映画である。

 スタイル抜群の女の子は、頭もよくハーヴァード大学をめざしている。
しかし彼女は、いい子を演じなければならないプレッシャーから、隠れて薬を使ってテンションを高めている。
その彼女と長年バイトを一緒にしながら、恋心を打ち明けられない男の子。
少し気があれば誰とでも寝てしまうけれど、まったく自分の行動を隠そうとしないで堂々と振る舞う女の子。
将来はバンドを組たい男の子。
この子がなかなかいい。
生き方に悩み、男性店員との関係もあって、手首をきって自殺しようとした女の子。
登場するなり髪の毛をきって坊主頭になり、ギンギンにつっぱているのが実にかっこいい。

 中学生がレコードを万引きをするが、これがレコードの屋の店員に憧れていて、捕まると俺を雇えと開き直る。
一度は警察に引き渡されるが、今度は拳銃を持って店に来る。
しかし、いつの間にか彼も仲間になってしまう。
現代音楽は、どこか切れた側面を持っており、社会準則からはずれてしまう人間と共感する。

 店の買収は、中学生が拳銃を持ってきたのを、テレビ局が現地から生中継したときに、オール ナイト パーティーをやるぞって画面で宣伝して、そのパーティーの売上で阻止できる。
アメリカ人って、どうしてああもノリがいいんだろう。
一人の思い付きで、パーティーをやるといったら、みんながそれって展開する早さは、気持ちがいいくらいである。
1995アメリカ映画。


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