1975年生まれ。商業高校を卒業し、数々の職を経験した後、21歳で兵役に就く。除隊後、演劇を学び、その後、アクターズ21アカデミー(演劇俳優に
よって設立された学院)を経て、映画の道に進む。チョ・グンシク監督作品『品行ゼロ』(02)、チョ・ミノ監督作品『強敵』(06)、ソン・ヘソン監督作
品『私たちの幸せな時間』(06)といった長編映画のヒット作にも小さな役で出演しているが、作品評価の高い多数の短編映画の主演を務め、韓国インディー
ズ界で信頼される存在となる。日韓合作の3話オムニバス映画『まぶしい1日』の第1話「宝島」や安藤大佑監督の短編作品『けつわり』にも出演。『けつわ
り』は、昭和18年の福岡の筑豊地方を舞台にした映画で、ヤン・イクチュンは飛行機代のみのノーギャラで主演を引き受けたと言う。2005年に短編映画
「Always Behind You」を初監督し、自ら主演。同作品はソウル・インディペンデント短編映画祭での観客賞をはじめ、国内の数々の映画祭で受賞し、監督としても注目を集め
た。その後、さらに2本の短編を監督。本作『息もできない』で初の長編に挑戦。家を売り払ってまで製作費にあてるなど、多くの困難を乗り越えて完成させ
た。韓国の映画監督としては珍しく、映画学校で学んだり、助監督として経験を積んだりせずに監督となったが、その驚くべき才能でロッテルダム国際映画祭タ
イガー・アワード(グランプリ)、東京フィルメックスの最優秀作品賞(グランプリ)と観客賞はじめ各国で25を超える賞に輝いた。俳優としての次回作は、
チ・ジニと共演の『家を出た男たち(原題)』。 |